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バトルシステム

本ドキュメントは振る舞い仕様(プレイヤーから観測できるルール)のみを定義する。実装方式(クラス名・アルゴリズム等)は書かない。 用語の正式な定義は 用語集。敵側のルールは 敵の設計。

このドキュメントが定めるのはルールであり、数値は持たない。 数値は全て バランス にある。

盤面​

戦闘の盤面は刻という一本の数直線である。刻は主人公の年齢を表し、0(誕生)から寿命上限まで伸びる。プレイヤーはこの直線上の1点に立ち、敵もまた、この直線上の1点に立っている(ADR-0024)。

誕生 現在 座 寿命
0 ────────────●────────────────▼──────────────────── 上限
刻 敵
←──── 座を跨ぐたびに、敵の攻撃が1つ消える ────→
  • 刻はランを通して連続する。 ステージが変わってもリセットされない
  • ラン開始時の刻の初期値は バランス 参照
  • 数直線の両端は絶対の壁である。0 より下へも、寿命上限より上へも移動できない
  • 壁は敗北条件ではなく、プレイ不能として表現される(ADR-0019)。寿命上限に到達しても死なない。その先へ進む手段が無くなるだけである
  • 銘は寿命上限を超えうる。 銘 > 寿命上限 のページは持てるがプレイできない。物語上は「起こらなかった壮大な未来」=決して生きない年であり、哲学マスで寿命を延ばすと解禁される

プレイヤーの4つの値​

値意味増える条件減る条件
HP残りの生戦闘中は増えない(回復はマップ上の報酬と、希少なページ固有効果のみ)敵の攻撃のみ
歩そのターンに歩ける年数ターン開始時に規定量へ回復するページのプレイ
防御被弾軽減。値ごとに消滅契機を持つ(下記)ターン終了時、座からの距離に応じて得る。ページの効果でも得る被弾時に消費/消滅契機に到達
綻び因果の不整合の蓄積。単位は年ペンで書き込む/破る減らない

ページのプレイでHPは減らない(ADR-0022)。攻めることに共通のコストはなく、HPが減る主な経路は被弾である。

例外は、ページ固有の代償としてHPや通貨を支払う効果である(ADR-0031)。これは全ページ共通のコストではなく、そのページだけが負う賭けである。

防御は値ごとに寿命を持つ​

防御はひとつの数値ではなく、(値 × 消滅契機)の集まりである(効果システム)。

消滅契機意味
被弾1回Intent を1個受けたら、残っていても消える
ターン終了既定。 |刻 − 座| から得る防御はこれ
ステージ終了ターンを跨いで残る
ラン終了消えない
  • 消費順序は寿命の短いものから。 被弾1回 → ターン → ステージ → ラン
  • 上限はない
  • 既定の防御は持ち越されない。 長い寿命の防御を配れるのはページの効果だけである

ターン構造​

  1. 予兆の提示 — 敵が、そのターンの終わりに実行する Intent を提示する。Intent 1個が攻撃1回にあたる(敵の設計)
  2. 歩の回復 — 歩が規定量まで戻る。前のターンの残りは持ち越されない
  3. ドロー — 規定枚数を引く。手札が上限に達している場合は引かない(ADR-0026)
  4. 引き直しの判定 — ここでプレイ可能なページが手札に1枚もない場合、手札を全て捨て札へ送り、ステージ開始時の枚数だけ引き直す(下記)
  5. プレイヤーフェイズ — 歩の許す限りページをプレイする。ステージ内特殊操作もここで行う
  6. ターン終了の宣言 — プレイヤーが任意のタイミングで宣言する
  7. 防御の獲得 — ターン終了時点の |刻 − 座| に比例した防御を得る
  8. 敵の行動処理 — 残っている Intent が順に実行される。防御があれば消費される
  9. 後始末 — 手札はそのまま残る。 歩と、消滅契機がターン終了の防御が消える

山札が0枚になった時点で、捨て札を全てシャッフルして新しい山札とする。 捨て札へ送られるのはプレイされたページだけである。

ページのプレイ​

ページをプレイすると、|刻 − 銘| の歩を支払い、刻はそのページの銘へ更新される。

  • 方向は関係ない。 未来へ登るのも過去へ降りるのも、同じ距離なら同じ値段である
  • 残りの歩で払えないページはプレイできない
  • 手札は任意の順にプレイできる(ADR-0023)。同じターン中に未来側と過去側を行き来してよく、一度通過した刻へ再び戻ってもよい

発動する面​

各ページは未来面と過去面の2つの面を持ち、配布時点ではどちらか一方だけが書かれている(ADR-0025)。どちらの面が発動するかは、プレイした瞬間の銘と刻の関係で決まる。プレイヤーは選べない。

条件発動する面
銘 > 刻未来面
銘 < 刻過去面
銘 = 刻過去面 → 未来面の順に両方

発動する側の面が白紙のページはプレイできない。 歩も消費せず、刻も動かない。

銘 40 / 未来面のみ記入 のページ
刻 30 で出す → 銘 > 刻 → 未来面 → プレイできる
刻 55 で出す → 銘 < 刻 → 過去面は白紙 → プレイできない

したがって、どこで刻を止めるかが、次のターンに何を出せるかを決める。 歩を余らせてでも良い位置で終えることは、正当な選択である。

銘 = 刻 のページの制限​

銘 = 刻 のページは歩を消費せず、両面が書かれていれば両方の効果を発動する強力な札である。同一ターン中にプレイできる銘 = 刻 のページは1枚までとする(デジェネレートなループを防ぐための上限。枚数は バランス で調整可能)。

手札​

手札はターンをまたいで残る(ADR-0026)。

  • ターン終了時、プレイされなかった手札は捨て札へ送られない
  • 毎ターン固定枚数を引く。手札が上限に達しているときは引かない
  • ステージ開始時の手札枚数は バランス 参照

温存の代償は「新しいページが来ないこと」である。 抱え込むほど山札は消化されず、手札は固定されていく。出したくないページで手札を埋めれば、ドローも山札の循環も止まる。

引き直し​

ターン開始のドローを終えた時点で、プレイ可能なページが手札に1枚もない場合、手札を全て捨て札へ送り、ステージ開始時の枚数だけ引き直す。

  • 1ターンにつき1回まで。 引き直した結果それでも出せる札がなければ、繰り返さない
  • 引き直してもなお出せる札がないとき、そのターンはページをプレイできない。ペンと破るは使える

これは持ち越し制の穴を塞ぐための救済である。刻を高く置いたまま、手札が「未来面しか書かれていない低い銘のページ」で埋まると、刻を動かす手段がないまま永久に何も出せなくなる(ADR-0026)。

最後の抵抗はペンである。 白紙の面に書き込めばそのページはプレイ可能になり、生き延びられる。

敵との交戦​

詳細は 敵の設計 を参照。バトル側から見た要点:

起きること条件
敵にダメージが入るプレイしたページの効果に従う。跨いだかどうかとは無関係
敵の Intent が1個消える座を1回跨ぐこと。跨いだ回数だけ消える
防御を得るターン終了時点の |刻 − 座| に比例。方向は関係ない
被弾する消えずに残った攻撃 Intent の数だけ、防御で吸収した残りを受ける
白紙化される消えずに残った白紙化 Intent の数だけ、その Intent が指定する領域(手札/山札/捨て札/合算。Intent ごとに異なりうる)のランダムな1枚の発動面が白紙に戻る(敵の設計)。防御では防げない。唯一の対抗手段は跨ぎである

跨ぐとは、直前の刻と新しい刻が座を挟むことである。 座の上にちょうど止まった場合は跨いだことにならない。向きは関係ない。

跨ぎは攻撃の条件ではない。 座を一度も跨がないターンでも、未来面の攻撃効果は通常どおり敵に入る。跨ぎが持つ意味は Intent を消すこと、すなわち守りだけである(ADR-0024)。

被弾処理の順序は 防御で吸収 → 残りをHPから減算。吸収には寿命の短い防御から使う。

1本の歩を、3つが奪い合う​

歩の使い道得るもの
移動量を大きく取る攻撃(移動量に比例する作用)
座を跨ぐIntent が消える(守り)
座から離れて終わる防御(守り)

斬るのはページ。跨ぎが消すのは、敵の手のほうである。

銘の分布が、そのままビルドの性格になる。 銘が密集したデッキは移動量が小さく火力は出ないが、何度も跨いで無傷に近づく。銘が極端なデッキはほとんど跨げず殴られるが、1枚の移動量が大きく1撃が重い。

ステージ内特殊操作​

「ペンで書き込む」「破る」は、1ステージにつき1回ずつ実行できる(ADR-0027)。使い切ったぶんはステージ終了までは戻らず、ステージをまたいで持ち越すこともできない。

ページの効果によって、この回数は増える。 「このページをプレイしたとき、追加で1枚破れる」といった効果が存在し、破りを重ねるビルドが成立する(ページカタログ)。

いずれも手札のページのみを対象とする。

ペンで書き込む​

手札のページ1枚の、どちらか一方の面に対して実行する。物語上は記憶の改竄にあたる。

対象の面起きること
白紙の面その面が使えるようになる。 そのページが数直線のどちら側からでも切れるようになる
書かれている面その面が永続的に強化される。 各面につき1回まで(効果システム#ペン強化)

何が書かれるかは、ページごとにあらかじめ決まっており、プレイヤーから見えている(ADR-0025)。ペンを使う前に、それで何が手に入るかが分かる。

  • 効果はこのラン中、永続する
  • 綻びが固定量だけ上昇する(バランス)。破ると違い、刻との位置関係には依存しない

破る​

手札のページ1枚を、デッキから永久に取り除く。物語上はその年を永久に失うことにあたる。

量
綻び|銘 − 刻| × そのページの綻び倍率 年(ADR-0027)
破却効果既定では距離に比例して強化される(式と係数はバランス#破却効果)。このラン中ずっと持続する

破却効果はラン永続である。 ページを永久に失う対価として、以降の戦闘の形を変える。白紙ページ(両面とも白紙のページ)を破ったときは綻びだけが上がり、破却効果は得られない。

因果の歪みは、いまの自分からの距離に比例する。過去も未来も同じ。 そして、どの年を焼くかによって、歪み方が違う。

この式が意味すること​

刻の真上のページ(銘 = 刻)を破っても、何も起きない。 綻びは 0、破却効果は基礎値のみ。逆に遠い年を焼くほど、得るものも代償も大きくなる。破るとは距離を賭ける行為である。

刻はターン中に動くため、同じページでも破る時期によって別物になる。 綻び倍率 1.0 の銘 40 のページは、刻 38 で破れば綻び 2 年、刻 78 まで登ってから破れば 38 年。

そして、ページごとの倍率が「どの年を焼くか」を意味のある選択にする。 同じ距離でも、倍率 2.0 のページを焼けば綻びは倍になる。倍率が高いページは、それ自体が手放して痛いページである(ページカタログ)。

綻び​

綻びは減らない。ステージをまたいでもリセットされず、ラン全体を通して累積する。単位は年である。

増加要因は「ペンで書き込む」「破る」の2つのみ。通常のページプレイでは増加しない。

綻びは3つの役割を持つ(ADR-0027)。

役割見る値内容
倍率累積値敵に与える全ダメージが上昇する
勝利そのステージ中の上昇量敵ごとの突破ラインに到達すると、その敵に勝利する
報酬累積値一定の年数区切りに到達するたびに、恒久的な強化を得る(毎ターンの歩の増加など)

綻びを上げて払う代償は、そのページを二度と使えないことである。 綻びの値そのものがプレイヤーを脅かすことはない。壊すほど強くなり、壊すほどデッキが痩せる。ラン後半の主人公は強く、そして手札が薄い。

白紙ページ​

両面とも書かれていないページを白紙ページと呼ぶ。

  • プレイできない
  • ペンで書き込める。 書き込んだ面が使えるようになり、そのページはプレイ可能になる
  • 破ることもできる。綻びは位置と倍率に応じて通常どおり上昇するが、破却効果は得られない

白紙の面に何が書かれるかは、あらかじめ見えている。 ページごとに定義されており、隠されていない。したがって白紙ページは「中身の分からない紙屑」ではなく、ペンの1回を投じる価値があるかを評価できる投資先である。

敵はページをデッキから永久に除去しない(ADR-0033)。ページがプレイ不能になる原因は、発動する側の面がまだ書かれていないこと、または敵の白紙化によってその面を奪われたことのいずれかである。どちらの場合も、ペンで書き込めばプレイ可能に戻る。デッキからページが永久に失われるのは、プレイヤーが「破る」を選んだときだけである。

勝敗条件​

勝利(ステージクリア)​

  • 敵のHPを0にする、または
  • そのステージ中の綻び上昇量が、その敵の突破ラインに到達する

敗北(ラン終了)​

  • HPが0になる
  • プレイ可能なページが尽きる — ターン開始の引き直しを経てもなお手札に出せる札が1枚もなく、そのままターン終了を宣言したとき

2つ目は、ペンで白紙の面を埋めれば回避できる。判定はターン終了の宣言時であり、それまでにペンや破るで状況を変える余地が残されている。

刻が寿命上限に到達しても敗北にはならない(ADR-0019)。ただし未来へ進む手段が無くなるため、降りるか壊しきる以外の勝ち筋がなくなる。

ステージ間で引き継がれるもの​

引き継がれるリセットされる
HP/刻/綻び(累積値)/手札/デッキ(山札・捨て札の中身)/通貨/獲得済みのページ/マップ上の現在位置/ペンで書き込んだ強化/繰り返し範囲がランの継続作用(破却効果を含む)/消滅契機がランの防御歩(ターン単位)/消滅契機がターン・ステージの防御/引き直しの使用済みフラグ(ターン単位)/そのステージ中の綻び上昇量/エスカレーションの進行度/ステージ内特殊操作の使用済みフラグ/繰り返し範囲がステージの継続作用

刻と綻びをリセットしないのは意図的な設計である(ADR-0003、ADR-0027)。ラン全体が「主人公の一つの人生を歩ききること」に相当する。

破却効果もラン永続であるため、ステージをまたいで積み上がる。 これがラン中の主要な成長経路になる。

何が引き継がれるかは、その継続作用の繰り返し範囲と、その値の消滅契機が決める(効果システム)。上の表はその既定を並べたものである。

ターンの実例​

数値は全て仮値である(バランス 参照)。

状況: 刻 30 / HP 200 / 歩 40 手札: 銘 8(過去面のみ)・22(両面)・36(未来面のみ)・44(未来面のみ)・55(未来面のみ) 敵: 座 42 / Intent 3 個(各 16)

0 ─── 8 ─── 22 ─────●30 ─── 36 ───▼42─ 44 ─────── 55 ───
刻 座

刻 30 では、銘 8 と 22 は過去面、36・44・55 は未来面が発動する。5枚とも、発動する側の面が書かれているのでプレイできる。

選択肢A:跨ぎを重ねる(36 → 44 → 22)​

  • 歩 6 + 8 + 22 = 36 消費(残り 4)
  • 攻撃: 未来面2枚(36・44)が発動。移動量の合計は 14
  • 座を 2回跨ぐ(36 → 44 と 44 → 22)→ Intent 3 → 1
  • 終着点 22 → 防御 |22 − 42| = 20
  • 残った Intent 1個(16)は防御で全て吸収 → HP 200 を維持
  • 次ターンの開始位置は 22。手札に残る 8 は過去面、55 は未来面で切れる。どちらも生きている

選択肢B:振り抜いて遠くで終わる(36 → 44 → 55)​

  • 歩 6 + 8 + 11 = 25 消費(残り 15)
  • 攻撃: 未来面3枚が発動。移動量の合計は 25 で、遠射系の効果ならAの約2倍
  • 座を 1回跨ぐ(36 → 44)→ Intent 3 → 2
  • 終着点 55 → 防御 |55 − 42| = 13
  • Intent 2個(32)− 防御 13 → HP 181
  • 次ターンの開始位置は 55。手札に残る 8・22 は過去面で切れる。ただし以降に引く「未来面しか書かれていないページ」は、銘が 55 を超えていない限り死に札になる

選択肢C:降りて守りきる(22 → 8)​

  • 歩 8 + 14 = 22 消費(残り 18)
  • 攻撃: なし。プレイしたのは過去面2枚であり、未来面を1枚も出していないため(跨がなかったからではない)
  • 座を 一度も跨がない → Intent 3 個のまま
  • 終着点 8 → 防御 |8 − 42| = 34
  • Intent 3個(48)− 防御 34 → HP 186
  • 次ターンの開始位置は 8。手札に残る 36・44・55 は全て未来面で切れる。座までは遠い

この3択がこのゲームの中心である。 Aは無傷だが火力が出ず、Bは火力を通すが被弾し、Cは殴られながら次の位置を作る。そしてどれを選んでも、次のターンに何が出せるかが変わる。

Aで火力が出ないのは、跨いだからではない。 座を挟んで往復すると移動量が細切れになり、そのぶん移動量に比例する作用が伸びないからである。跨ぎと火力は、歩を奪い合っているだけで、互いを禁じてはいない。

同じ手札で「破る」を考える​

刻 30 で、破る対象を選ぶ。綻び倍率はページごとに異なる(仮に 8 が 2.0、55 が 0.8)。

破る対象距離倍率綻び失うもの
銘 8222.044年座から最も遠くへ降りられる足場
銘 55250.820年座を跨ぎ越して遠くで終わるための札

距離が近いほうが綻びを多く生むことがある。 倍率があるため、「最も遠い札を焼く」は常に最適とは限らない。選択肢Bのように 55 まで登ってから銘 8 を破れば距離は 47、綻びは 94 年に跳ねる。登ってから破るか、破ってから登るかで、同じ手札が別の意味を持つ。

関連​

開発者フックとの関係​

デバッグ用途としてHP・歩・防御・綻び・刻・手札の内容を外部から直接書き換えられる必要がある(セーブ/開発者モード)。この書き換えは上記のルール(歩の残量や1ステージ1回の特殊操作制限など)をバイパスしてよい。

Implementation Notes​