シナリオ・世界観
本ドキュメントはナラティブの設計書である。現在のプロトタイプは「第1幕:通常道中」のみをスコープとする(第2幕以降のシステムは対象外)。 ゲームルールの確定仕様は 02-game を参照。用語の正式な定義は 用語集。
コアコンセプト
- ジャンル: ローグライク・因果改変・立場逆転型カードゲーム
- コアメタファー: プレイヤーのデッキは**「自分自身の本(自分紀)」であり、カードは「ページ」、そこに書かれているのは主人公の人生の一場面**である
- コアメカニクス(本編・主人公視点): ページを破り捨てることで世界に**バタフライエフェクト(因果の不整合)**を発生させ、敵を圧倒する
- コアメカニクス(ラストバトル・英雄視点): 操作対象が「英雄+アシスト」へ切り替わり、自分が育て上げた最強の主人公の歴史(本)を「白紙」に塗り替えて消去する
メカニクスとの結節点
物語の中心概念は、そのままゲームの数値になっている(デザインピラー 参照)。
| 物語 | ゲームシステム |
|---|---|
| 主人公の人生の時間軸 | 刻(0=誕生、上限=寿命) |
| 残りの生 | HP |
| その日に人生を遡り、また進む距離 | 歩(1ターンに動ける年数) |
| 敵と対峙している年 | 座(数直線上の一点) |
| まだ思い出していない/まだ書いていない場面 | 白紙の面(その向きからは切れない) |
| 記憶を書き換える | ペンで書き込む(白紙の面を埋める/書かれた面を強化する) |
| その年を永久に失う | 破る(デッキから永久除去) |
| 因果の不整合の蓄積 | 綻び |
| 檻が壊れる=脱獄 | 綻びが突破ラインを超える |
前提設定
[未決定 → #27] 主人公・アシスト生命体・英雄の固有名詞は決まっていない。本ドキュメントでは一貫して役割名で呼ぶ。
偽の時間軸(図書館)
ゲーム開始時の舞台。膨大な過去の歴史や悲劇の本が並ぶが、実は**主人公1人を閉じ込めるために現実の人間が作った「檻(プリズン)」**である。
主人公
寡黙な存在。かつて自分自身の持つ特権(因果改変能力)によって世界を独占・作り変えようとした本物の悪(諸悪の根源)。現在は記憶を失っている。
記憶喪失はゲームメカニクスに直結する。 主人公の初期デッキは銘が開始年齢の周辺に固まっており、しかもほとんどのページが片面しか書かれていない。序盤は近場を細かく動くことしかできず、敵の座が遠ければ跨げない。歴史マスで実際に生きたありふれた年を、神話マスで**語られるだけの年(幼少期の神話と、ありえない未来)**を取り戻すことが、そのまま盤面の広がりになる(進行と経済)。
アシスト生命体
プレイヤーの画面UIやナビゲーションを担う無垢な存在。檻の管理用に配置された自律型ガイドAIだが、「囚人が悪人である」という事実を知らされていない。本気で主人公を「世界を救う唯一の希望」と信じ、100%プレイヤーの味方として健気に寄り添う。
英雄
かつて主人公を封印した、現実世界の守護者。
プロット(全3幕構成)
第1幕:欺瞞の救世(ゲーム前半)— プロトタイプのスコープ
主人公は「歴史の崩壊を防ぐ」というアシスト生命体の言葉を信じ、襲いかかる防衛機構と戦う。生き残るために自分のページ(人生の一場面)を破り捨て、世界に不整合を発生させて突き進む。
この幕がプロトタイプで実装される全てである。 マップ探索 → 複数戦闘 → クリア/ゲームオーバーのループが、そのまま第1幕の体験にあたる。
[未決定 → #27] 防衛機構の具体的な種別・数・登場順と、哲学マスで語られる記憶の断片の内容。
第2幕:バグによる『脱獄』(中ボス撃破)
檻の維持装置(中ボス)を撃破した瞬間、プレイヤーがページを破り続けたことで蓄積した「歴史の不整合(バグ)」が限界突破し、世界が崩壊。主人公は**「現実の時間軸」へと弾き出される(=脱獄の成立)**。
ここで現実世界のマスターデータが同期され、主人公が「世界を滅ぼそうとした悪」であった真実が明かされる。
綻びをステージ間でリセットしないのは、この幕のためである。 綻びが累積し続けるからこそ「限界突破」が起こりうる(ADR-0005)。
中ボス(檻の維持装置)はプロトタイプのスコープ外である(PRD スコープ境界)。この幕の専用ギミックと不可分なため、第1幕のループが成立してから設計する。
第3幕:因果の逆転(ラストバトル)
現実世界へ脱獄した主人公の前に、現実世界の「英雄」が駆けつける。真実を知って絶望するアシスト生命体だが、プレイヤー(画面の前のあなた)を守るため、そして世界を救うために英雄の精神と同期。プレイヤーの操作キャラクターが「主人公(ラスボス)」から「アシスト生命体+英雄(プレイヤー側)」へと完全に切り替わる。
通常道中の設計思想:新陳代謝
ケチなプレイヤーによるカードの温存(エリクサー症候群)を防ぐため、難易度とシステムを直結させる。
- 抱え込むと止まる: 手札はターンをまたいで残るが、上限に達するとドローが止まる。温存すればするほど新しいページが来ず、選択肢が固定されていく
- 時間が唯一のタイマー: ターンが経つほど敵の Intent の個数が増える。守り続けることはできない
- 破ることでしか強くならない: 破却効果と綻び(=攻撃倍率・勝利条件)は、ページを永久に失うことでしか手に入らない
- 伏線: この「道中で自ら破り捨てた膨大なページの残骸」が、ラストバトルの唯一の弾薬になる
この構造は バトルシステム にルールとして実装されている。
デッキからページを永久に失わせるのは、常にプレイヤー自身の選択である(ADR-0033)。主人公が「本物の悪」であるという立場が、そのまま構造になっている — 誰にも焼かれていないのに、自分で自分の人生を焼いて檻を壊す。
ラストバトル専用システム:『白紙化のハッキング』
プロトタイプのスコープ外。 将来の設計のために構想を記録しておく。
ここでの「白紙化」は、このラストバトル専用の固有システムである。 通常道中にも同名の敵の作用(用語集、ADR-0033)が存在するが、対象(自分紀そのもの/手札のランダムな1枚)も効果(プレイ不能化/発動面を奪う)も別物である。実装する際は別の名前を検討すること。
プレイヤー(英雄&アシスト)の目的は、ボスのHPを削ることではない。ボスの自分紀そのものを「何もない空のページ(白紙)」へと塗り替え、その定義を世界から消去すること。
基本リソース
- ボスの残りHP: なし。代わりに**「自分紀の残りページ数」**が表示される。これが0になれば勝利
- 英雄のデッキ: 主人公が道中で「破り捨ててきたページの断片(ログ)」
- 所有権(ログイン)メーター: 白紙化の進行速度に影響する
3ステップ・ループ
- 【時間軸の操作】と【ログイン(召喚)】 英雄の能力で時間軸をずらし、破棄された断片から「別時間軸の主人公(レプリカ)」を場に呼び出す。彼らは今のボスにとっては並行世界の他人だが、本の所有権(ログイン権限)を持っている。場にレプリカが増えるほどメーターが傾き、ターン終了時の「白紙化ダメージ」が跳ね上がる
- 【付箋】による防衛(手札ロック) ボスは、プレイヤーが道中で手塩にかけて育て上げた「最強のコンボ」で英雄を消し飛ばそうとする。プレイヤーはそのコンボを知っているため、ボスのタイムラインに**「付箋」**を貼り、起点カードをホールドして不発にさせる
- 【ペン】による「白紙化(上書き)」 ログイン権限が通っている状態でボスの手札や山札に「ペン」を使用すると、そのカードのテキストが**「……(白紙)」**に上書きされる。白紙化されたカードは、ボスが使っても何も起きない虚無のページになる
結末
戦闘後半、ボスはドローしても真っ白なページしか引けなくなり、無力化していく。最後の1ページが白紙に塗り替えられた瞬間、ボスは最初から存在しなかったかのように世界から完全に消去(ログアウト)される。
アシスト生命体は、残された真っ白な「空の本」を抱きしめ、世界が救われたことに安堵しながら、画面の向こうのプレイヤーに感謝の微笑みを浮かべて幕を閉じる。